おもてなし ー おもしろ日本語紹介

Posted by on 11月 17, 2015 – 日本語いろいろ

おもてなし ー おもしろ日本語紹介

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「おもてなし」は日本人が客を歓待する様を表しますが、その言葉には、単に歓待する方法以上に深い意味があります。

「おもてなし」は名詞で、「客を心から歓待すること」を表します。動詞は「もてなす」です。

日本に少しでも住んでみるとわかるのですが、日本のサービスは、詳細に至る部分まで気を使います。「お客様は神様」という格言がありますが、客は常に正しいのです。

「おもてなし」は日常の生活のなかで常に感じることができます。タクシーから乗降りする際に自動的に開閉するドア、割り箸にさりげなく付いている楊枝、銀行の ATMの周りに設置されている傘かけや鞄掛け等がその例です。

開店時のデパートを訪問すると極上の「おもてなし」を体験することができます。多くの店員が一列に並んで、来客の方を自分のお店に招き入れるように頭を下げます。多くの歴史家がおもてなしの起源はお茶会にあると指摘しているのが分かるような気がします。

「おもてなし」の表記方法はいくつかありますが、普段はひらがなのみで書きます。一方、漢字で表記すると、興味深いことが分かります。「おもて」は「表」(表面、何かを持っていること)、「なし」は「成」(…のない、何かを成し遂げる) で表します。従って、日本人がこの上ない「おもてなし」をした場合、そのサービスを提供する上で、何も対価を求めていないという意味になるのです。

「おもてなし」の例文をみてみましょう。

– 親切なおもてなしを、ありがとうございました。
– Shinsetsuna omotenashi o, arigatōgozaimashita.
– Thank you for your kind hospitality.

心づくしのおもてなしを感謝します。
– Kokoro-dzukushi no omotenashi o kansha shimasu.
– Thank you very much for your hearty hospitality.

 

「おもてなし」は易しい概念ではありません。「おもてなし」とは最上のサービスを、なんの見返りも期待せずに提供することです。その根幹にあるのは、無我や相手を敬う気持ちです。自分自身の利益は捨てて、ゲストやお客様が喜ぶことをするのです。日本ではチップをする習慣がないのはこの精神と無縁ではないでしょう。

相手の気持ちや要望を汲み取ることこそ、「おもてなし」の神髄なのです。レストランに行って着席すると、すぐに熱いタオルが出されるのは、そのためです。

 



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