「まったり(する)」 ー おもしろ日本語紹介
「まったり(する)」 ー おもしろ日本語紹介
外国語の俗語を勉強すると、語彙全体の向上に役立つことがあります。俗語には社会に対する一般人の面白い視点が隠されていることが多いからです。今回は、俗語のひとつ「まったり(する)」を取り上げましょう。
日本人は献身的に働くことで知られます。時にはプライベートな時間を犠牲にしてまで残業します。仕事がありすぎる職場では、週末も仕事します。いったい、サラリーマンはいつ休息するのか、と思うほどです。
そんな状況ですから、日本人にとって休日はたいへん貴重です。多くの人は友人に会ったり、人気の映画や展示会に行ったりして過ごします。外出するのがおっくうならば、単純にソファに横になって、ゆっくり過ごすのです。ゆったりとして何もしない様子を表す俗語が「まったりする」です。
「まったり」は美食に関連する言葉で長い間使われてきました。元々は関西で「穏やかな深い味わい」を指す言葉でした。「まったり」には、その味覚がゆっくりと口の中に広がって行く様子も含まれています。
はじめて、この言葉が使われたのは 1998年のことでした。当時、NHK が放送したアニメ番組「おじゃる丸」で、ある登場人物を描写するのに「まったり」が使われました。
次第に、「まったり」は「退屈」等、怠惰な状態をさすようになりました。やがて、「ゆったりする」「気楽に過ごす」などを意味するようになりました。その結果、「まったり」は「ゆっくり(する)」、「くつろぐ」、「のんびり(する)」、「ダラダラ(する)」、「ゴロゴロ(する)」などの類義語となったのです。
「ゆっくり(する)」が意味として定着すると、本来の意味は薄れていき、俗語としての「まったり(する)」が生まれたのです。
会話の例を見てみましょう。
例:≪友達の会話 ≫
A: ねぇ、ちょっと疲れちゃった。どっかでまったりお茶でもしない?
B: いいね、そうしよう。
例:≪恋人同士/夫婦の会話≫
A: 週末はどうしようか?
B: 今週は残業続きで疲れたから、家でまったりしたいな。
例:≪友達の会話≫
A: ゴールデンウィークはどうだった?
B: んー、特に何も。家でまったりしてた。
日本の夏はとても暑いので、日本の友人に誘われても外出するのがおっくうな場合もあることでしょう。そんなとき、「まったり」を使ってみましょう。次のように、言えば良いのです。
「今日は家でまったりします。」
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