「ため」ーおもしろ日本語紹介

Posted by on 10月 21, 2015 – Article in Japanese, 日本語いろいろ

「ため」ーおもしろ日本語紹介

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外国語の俗語を勉強すると、語彙の向上に役立つことがあります。俗語には一般人の社会に対する興味深い視点が多いからです。今回は「ため」を取り上げましょう。

日本人は社会階層をとても気にします。そして、社会的身分の違いや性別によって、呼称や接し方を変えます。例えば、学校や職場では若手や経験が少ない人を「後輩」、年長または経験が豊富な人を「先輩」と呼びます。

では、日本の若者は同世代の仲間をどう呼ぶか、知っていますか。友人同士では「ため」が使われることがあります。

「ため」は元々ギャンブル用語で、ふたつのサイコロの目が同じことを意味しました。ゾロ目とも呼ばれました。昭和になると「ため」は「同等」を意味するようになりました。

60年代、ヤクザ社会では「ため」と「同じ」は全く同義に扱われました。

さらに70年代になると不良青年の間に広がり、80年代にさらに多くの若者が使い始め、ついには新聞でも取り上げられるようになりました。

一般的に、「ため」は「同じ年齢」と同義ですが、「タメ同級生」のように、学年をも示すようになりました。さらに発展して「ため」は仲間を指して、同じ年齢を超えた仲間意識を表すようになりました。

このような背景があるので、日本人は海外の人が「ため」を話すのを聞くと、少なからず驚くことがあります。

では、例文をみてみましょう。

 

例文:飲み会で

A: Bさんっていくつ?
B: 25だけど。
A: じゃ、私とためじゃないですか!私も25です~。

 

「ため」から派生した表現に「ため口」があります。「ため口」は文字通り「同じ口」のことですが、ここでは相手の社会的地位を見誤って話者と同等に扱ってしまう意味になります。社会階層や年齢が離れているのに、相手と対等の立場で気やすくものを言う「ため口」はとても失礼なことです。

 

 



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