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〈お〉→「おかしい」とは?

Posted by on February 28, 2018 – あいうえおブログ!

English

日本語の「おかしい」ということばには、2つの意味があります。

① 「あれ? お金を入れてボタンを押してもジュースが出ない。おかしいなぁ。」

……この「おかしい」は、「へんだ」「いつもとちがう」という意味です。

② 「彼の話が、おかしくておかしくて、笑いが止まらなかった。」

…… この「おかしい」は、「おもしろい」という意味です。

「おかしい」ということばは、1000年くらい前からありました。昔は、ひらがなの使いかたなどが今とちがうので、「をかし」ということばでした。そして、「をかし」は少し意味もちがいました。

1000年前の「をかし」は、①の「へんだ」「いつもとちがう」の意味はありませんでした。②の「おもしろい」の意味はときどき使いましたが、あまり多くありませんでした。

では、1000年前の「をかし」は、どういう意味でよく使われたのでしょうか?

私は、facebookの「 いいね! 」のような意味だと思っています。(私の意見です!)でもみなさん、「いいね! 」には、いろいろな気持ちの「いいね! 」があると思いませんか? 1000年前の「をかし」が、どんな気持ちの「いいね! 」なのか考えてみましょう。

1000年くらい前に清少納言(せい しょうなごん)という女の人が書いた「枕草子」(まくらのそうし)というエッセイがあります。この本を読むと、清さんが、どんなものを「をかし」と思ったのかよくわかります。とくに本のはじめのところには、春、夏、秋、冬、それぞれの季節のどんな風景が「をかし」なのかが書いてあります。この本を読むのはとてもむずかしいので、できるだけかんたんな日本語にしますね。

『枕草子』
春は、朝、太陽が出る風景がいいね。だんだん明るくなって、雲がむらさき色になってくるのがいいね。
夏は夜がいいね。月がきれいな夜も、雨が降っている夜もいいね。蛍(ほたる…光る虫)が、少し飛んでいるのもいいね。
秋は、夕方がいいね。きれいな夕方の空を鳥が並んで飛んでいく風景がいいね。静かな夕方に小さい虫が鳴いているのもいいね。
冬は、朝早くがいいね。朝早く起きて、外を見ると雪が降っていてとても静かなのがいいね。寒い朝に、暖かそうに燃えている炭(すみ)を見るのもいいね。

どうですか? 清さんの「をかし」の気持ちがわかりましたか?

「うわー!すごい!いいねっ!」と声を出していう「いいね」ではありません。心の中でしずかにしずかに…「う~ん。いいね…。」と思う「いいね」が「をかし」だったのです。

さあ、みなさん、日本の生活の中で、1000年前の清さんと同じ「をかし」をさがしてみましょう!

Coto Language Academy 講師
松本重美

今回の著者は松本重美先生。松本先生は中学校の国語教師を23年勤めた日本語のプロです。Coto Academyでは中級レベルのインテンシブコース、ビジネス日本語コース、N1対策コースの担当の他、教材開発も担当されています。

Coto Langauge Academy コト・ランゲージ・アカデミーは、東京および近県に住む海外の方向けに生活のための日本語レッスンを提供している日本語学校です。日本語プライベートレッスン、週1~2回の日本語グループレッスン、週5日の日本語インテンシブコースがあります。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。